糖尿病の治療では、患者さん一人ひとりの状態に合わせて、食事療法、運動療法、薬物療法を適切に組み合わせることが重要です。単に血糖値を下げるだけでなく、血圧や体重、脂質代謝などの管理も同時に行い、総合的な改善アプローチを心がけています。
食事療法では、代謝状態を正常に近づけ、合併症の発症や進行を防ぐことを目的としているため、バランスの取れた食事内容をご提案します。患者さんの生活スタイルや嗜好を考慮しつつ、適切なエネルギー摂取量を維持し、炭水化物、脂質、タンパク質の適正な配分を目指します。また、食物繊維の積極的な摂取や、塩分の制限なども重要なポイントです。
運動療法は、インスリン感受性を改善し、血糖コントロールを助ける効果があります。また体重管理、血圧や脂質代謝の改善なども期待できるので、合併症予防にも繋がります。ただし、患者さんの体力や合併症の状態を評価し、無理のない運動プランを立てることが大切です。
薬物療法では、患者さんの病態や合併症の有無などを詳細に評価した上で、適切な薬剤を選択します。経口血糖降下薬と一口に言っても、さまざまな種類があり、作用機序や副作用も異なります。ほかにも注射によって血糖をコントロールするインスリン療法やGLP-1受容体作動薬なども薬物療法の候補の一つです。また薬物療法と同時に、自己管理の一環として、血糖自己測定(SMBG)の指導や管理も行います。