家で血圧を測ってみよう! ~高血圧の方へおすすめ 家庭血圧測定~
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血圧を測ると聞くと、健康診断や病院で測るイメージがあるかもしれません。
昨今は、健康に対する意識の高さや、血圧計を手軽に家電量販店で購入できることもあり、家で血圧を測っている方も多いかと思います。
家庭用血圧計の普及率は 約4000万台と高く、体重計と並び一家に一台ある家電と言っても大げさではありません。ご自身で持っていなくても、ご家族が持っている場合も多いことでしょう。
それほど、私たちの身の回りに多くなった血圧計。
しかし、そもそも家で血圧を測る必要があるのでしょうか?
血圧を測るメリットは?
今回は、家庭で血圧を測ることのメリットや正しい測り方をご紹介します。
家庭で血圧を測るメリット
家庭で血圧を測るメリットには次のようなものがあるとされています。
・血圧を測るとき、環境や時間を、ほぼ同じにして測定できる。
・血圧の変化を把握することで健康管理ができ、健康意識も高まる。
・気持ちが安定した状態で測ることができるので、より正確な数値が分かる。
・病院での数値と比べることにより、白衣高血圧や仮面高血圧の存在を知る手がかりとなる。
・病院では測りにくい、早朝や深夜の血圧を知ることができる。
・測定値を記録することにより、医師による診断や治療に役立てることができる。
・体調の変化や病気のサインにきづくきっかけになる。
・血圧の薬を飲んでいる方では、薬の効果を知る手がかりとなる。
このように、毎日の血圧を知ることにより、より正確な血圧の値を知ることができます。
また、同じ環境で測ることにより、血圧が上下した時の原因が探りやすくなります。
血圧が変動する原因
毎日測っている血圧が、ふとしたことから変化することがあります。
病気や薬の飲み忘れによる変化のほかに、日常にもいくつか原因があげられます。
・季節の変わり目や気温の寒暖差が大きいとき。
・寒い季節の入浴の前後。
・階段の昇り降りなどで身体を動かしたとき。
・食事をとったとき。
・トイレで排便・排尿をしたとき。
・ストレスを感じたとき。
・塩分の多い食事をとったとき。
このような、よくある血圧変動の原因をなるべく取り除いた状態で、血圧を測定することが望ましいとされています。
血圧計は色々ありすぎて何を買ったらいいのかわからない
家電量販店やドラックストアに血圧計を買いにいくと、その種類の多さに驚かされます。
ご自身の好みや測りやすさも大切ですが、健康管理のための購入であるならば、上腕式血圧計をおすすめします。
上腕式血圧計は、カフ(マジックテープで上腕に巻く、空気が入る部分)を上腕部(肩から肘にかけての二の腕部分)に巻き付けて測定します。コンパクトで、置き場所にも困りません。測定はボタンひとつででき、測定結果もみやすく、画面に大きく表示されます。
上腕式は、他の部分で測定するよりも、正しい姿勢で測りやすく、正確な測定結果を得やすいです。また、広く普及していることから機種も多く、ご自身の目的にあったものを選びやすいのも特徴です。
測定スピードはかなり速く、20秒台のものもあり、時間をかけず測定をすることができます。測定結果の記録に関しても、スマホアプリと連動することにより結果を管理ができる機種もあります。手書きで結果を記載したい人には、メモリー機能のついた機種が使いやすいと思います。
家庭での正しい血圧の測り方
① まずは座った状態で身体と気持ちを落ち着かせましょう。身体を締め付ける服より、ゆったりとした服を着用したほうが良いでしょう。
② 椅子に座って、両足を床につけます。心臓と同じ高さに血圧計をおきましょう。高さを調節したい方は、本や空き箱などを利用して微調整してもよいと思います。
③ 背筋を伸ばして正しい姿勢ではかりましょう。
④ できれば2回測定しましょう。測定結果は両方記載しましょう。
測定は、可能であれば1日2回、朝と夜に行うのが理想です。
朝は、起床後、トイレを済ませた後、朝食や薬を飲む前に測定するのが理想です。
夜は、寝る直前で、入浴や飲酒の直後はさけましょう。

家庭血圧測定の評価の推奨については、日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会(編)の高血圧治療ガイドライン2019 p.40 に詳しく掲載されています。いくつか項目がありますが、その中から特に大切だと思う項目をご紹介します。
『1機械「原則2回」測定し、その平均をその機会に血圧値として用いる。』
⇒ 測定は2回続けてはかり、2回の平均値を血圧値としましょう。
例えば 1回目の測定 154
2回目の測定 148
の場合 154+148=302
302÷2=151 血圧は 151mmHg とする
『1機械の測定値は、選択することなくすべて記録用紙に記載する。』
⇒ 前述したものと矛盾するようですが、そんなことはありません。測定した結果は2回とも記載するということです。一つひとつの測定結果が、大切な記録になります。
『高血圧の診断、降圧薬の効果判定には、朝・晩それぞれの測定値7日間(すくなくとも5日間)の平均値を用いる。』
⇒ 1週間の測定結果は、正しい判断の材料となります。これは、診断や薬のためだけにとどまらず、ご自身の体調の判断の根拠としても有効です。
このように書くと、色々と制限があるように見えてしまいますが、
家庭血圧測定はご自身が最もリラックスできる場所で、リラックスした気分で測定できます。測定できない日があっても良いのです。
実際に、家庭での血圧の方が、病院での血圧の数値より心臓や脳の血管の病気の発症予測に有効であることも分かっております。

自分の体調のご機嫌伺いの気持ちで、測定を続けていただければ幸いです。